しんかいてい の しんてんかい    (新開亭の新展開)

鳥、本、落語、中国、SFなどいろいろと

「宇宙戦争」マイナス火星人  (2020年4月23日)

H・G・ウェルズ「宇宙戦争」から火星人を引いたような世界、皆さま生き抜いておられますでしょうか。

中国が経済成長を始めたころ、
「日本もオイルショックとかバブル崩壊とかあったから、中国経済もいろいろあるんだろうなあ」
と思ったけど、まさか敵がウイルスの第3次世界大戦のような日が来るとは予想もしませんでした。

この前まで東京オリンピックやろうとしてたなんて信じられないような毎日のニュース。

しかしまあ東京オリンピック満州国から手を引けずに中止、その戦争からの復興のための開催、ウイルスのために延期、何なんでしょう。呪われてるのか。


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大友克洋の「AKIRA」で「中止だ!」って落書きされてた東京オリンピック、本当に中止になるかも。
月面基地も海底牧場もできてないのに、そんなとこだけフィクションの21世紀が現実になるなんて。

経済活動がほぼ停止して中国やインドの空がきれいになったとか、イタリアのベネチアで水上交通が減少して水質良くなってクラゲが泳いでいるとか、ゾンビ映画みたいなニュース映像。

私は家でゴロゴロしててもお金がどこかから振り込まれさえすればいくらでも「stay home」できますけど、普通の人はストレス貯まるみたいですね。
家でじっとしてればやり過ごせる世界の危機というのは斬新だなあ、なぜ今まで映画になってないんだろう。
答え;そんな盛り上がらない映画は誰も見ないから。

まあ世界の人口は77億人なので新型コロナウイルスによる死者が1億、いや10億出ても滅亡はしないでしょう。
ペストの14世紀の大流行では、当時の世界人口4億5000万人の22%にあたる1億人が死亡したと推計されているそうなので、17億くらいですか。

数字の上の死者と実際の身近な人の死はまったく違うので、いくら計算してもたいした意味はありませんが。



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いろんな情報が飛び交って、誰の言うことを信じたらいいのか分かりません。

肺炎で死んだとされてすでに火葬された人の中に新型コロナウイルスの死者はいなかったのか、いたとしたらどれくらいなのか。
中国のようにバスも電車も止めて外出を一切禁止したら感染を止められたのか。
中国のやり方が正しいのなら自由な社会より独裁国家が正しいのか。
アメリカの感染者はなぜ多いのか、貧富の差か、医療体制か、肥満が多いからか。

これを書いてるのは岡江久美子さんが亡くなられた日で、日本の新型コロナウイルスの死者を検索すると299人と出てきます。

これくらいで収束するのか、して欲しいけれど院内感染で病院が機能しなくなるのは海戦で戦艦が次々大破してるようなものなのでは。

映画館や美術館に普通に行ける日が早く来ますように。
ともかくも、皆さまご無事で。

(しんかいてい @xinkaitei / Twitter)



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「三体」第一部、日本語で読みました(2020年2月)

「三体」を読みました。
SFファンの間では話題の、中国人作家の大作です。
本国では三部作が出ている第一部だけですが、読みごたえのある厚い本でした。

冒頭、文化大革命で批判される物理学者というショッキングなシーンで始まり「中国でこういうの書いていいんだ」とちょっと驚き。
天安門事件についてはまだ書けないんでしょうけど。

相対性理論量子力学の解釈が共産主義毛沢東思想に合ってるか、そんなのどうでもいいじゃないのと思うけれど、どうでも良くなかった時代があったのだなあ。
命に関わるレベルで、どうでも良くなかった。

読むのに疲れてテレビやツイッターを見ると、新型コロナウィルスが一番の話題。
中国国内で「武漢から来た」と言えば「帰れ、ここから入るな、タクシーから下りろ」と言われる。
香港で「中国から来た」と言えば、日本で「香港から来た」、ヨーロッパで「アジアから来た」、どれも歩く病原体のように扱われる事がある。
人間は自分に近い者を味方、遠い者を敵として選り分けてきたんだなと今さら思います。

ヨソモノは貿易品で富をもたらす事もあるけど、基本は害をもたらすエイリアン。

さて、重慶で出版されたSF小説「三体」でもさまざまな敵対関係が現れて、めまいがする面白さでした。
中国が経済成長を始めたころ、「中国の手塚治虫小松左京は現れるのかな」と楽しみにしてましたが、ようやく日本にも届き始めたようで嬉しい限りです。
中国の手塚治虫は届いてるのかな、どうなんでしょ。私が気がついてないだけなのかも。

続編の中国語版を買って、中国語の勉強のやり直しも兼ねて挑戦してみようと思います。
しかし中国語の本がスマホでポチッて買えるって、すごいなあ。
私が中国に行った時は、本はすべてカウンターの店員の後ろに並んでて、「それ、その本を見せてください」とタイトルを言って見せてもらってたので、隔世の感です。
20世紀の終わりと21世紀初めなので、本当に世紀またぎの隔世なんですけどね。

人や物や情報が国境を越えて行き交う今、目に見えないウィルスに人間はどうする事もできず右往左往しています。
この文章が印刷されて届けられる頃には、なんとか収束していますようにと祈ることしかできません。
請多保重、チンドゥオバオジョン、お身体お大切に、ご自愛くださいませ。

(しんかいてい / Twitter)

追記;「三体」の単行本は2008年、ケン・リュウの英語訳が2014年、中国語版と英語版をもとに訳者の名前が3人並んだ日本語版が出たのが2019年。
私が日本語版「三体」を読み、続編の中国語版をアマゾンでポチッたのが2020年。
さて、私が中国語版を読むのと日本語版の続編が出るのと、どっちが先か?
またレポートしますので、気長にお待ちください。