しんかいてい の しんてんかい    (新開亭の新展開)

鳥、本、落語、中国、SFなどいろいろと

「三体」第一部、日本語で読みました(2020年2月)

「三体」を読みました。
SFファンの間では話題の、中国人作家の大作です。
本国では三部作が出ている第一部だけですが、読みごたえのある厚い本でした。

冒頭、文化大革命で批判される物理学者というショッキングなシーンで始まり「中国でこういうの書いていいんだ」とちょっと驚き。
天安門事件についてはまだ書けないんでしょうけど。

相対性理論量子力学の解釈が共産主義毛沢東思想に合ってるか、そんなのどうでもいいじゃないのと思うけれど、どうでも良くなかった時代があったのだなあ。
命に関わるレベルで、どうでも良くなかった。

読むのに疲れてテレビやツイッターを見ると、新型コロナウィルスが一番の話題。
中国国内で「武漢から来た」と言えば「帰れ、ここから入るな、タクシーから下りろ」と言われる。
香港で「中国から来た」と言えば、日本で「香港から来た」、ヨーロッパで「アジアから来た」、どれも歩く病原体のように扱われる事がある。
人間は自分に近い者を味方、遠い者を敵として選り分けてきたんだなと今さら思います。

ヨソモノは貿易品で富をもたらす事もあるけど、基本は害をもたらすエイリアン。

さて、重慶で出版されたSF小説「三体」でもさまざまな敵対関係が現れて、めまいがする面白さでした。
中国が経済成長を始めたころ、「中国の手塚治虫小松左京は現れるのかな」と楽しみにしてましたが、ようやく日本にも届き始めたようで嬉しい限りです。
中国の手塚治虫は届いてるのかな、どうなんでしょ。私が気がついてないだけなのかも。

続編の中国語版を買って、中国語の勉強のやり直しも兼ねて挑戦してみようと思います。
しかし中国語の本がスマホでポチッて買えるって、すごいなあ。
私が中国に行った時は、本はすべてカウンターの店員の後ろに並んでて、「それ、その本を見せてください」とタイトルを言って見せてもらってたので、隔世の感です。
20世紀の終わりと21世紀初めなので、本当に世紀またぎの隔世なんですけどね。

人や物や情報が国境を越えて行き交う今、目に見えないウィルスに人間はどうする事もできず右往左往しています。
この文章が印刷されて届けられる頃には、なんとか収束していますようにと祈ることしかできません。
請多保重、チンドゥオバオジョン、お身体お大切に、ご自愛くださいませ。

(しんかいてい / Twitter)

追記;「三体」の単行本は2008年、ケン・リュウの英語訳が2014年、中国語版と英語版をもとに訳者の名前が3人並んだ日本語版が出たのが2019年。
私が日本語版「三体」を読み、続編の中国語版をアマゾンでポチッたのが2020年。
さて、私が中国語版を読むのと日本語版の続編が出るのと、どっちが先か?
またレポートしますので、気長にお待ちください。